2016/4/21新美南吉下宿先(愛知県安城市)

2016年安城市の新美南吉下宿先にて行われた、声の贈りもの「どこでも朗読館」朗読会の記事の一部をご紹介いたします。(2016年5月8日掲載記事)

4月21日午後、声の贈りもの「どこでも朗読館」朗読会(主催、新美南吉に親しむ会・南吉朗読ででむし会)が、安城市の南吉下宿先にて行われました。

朗読は松丸春生氏と西川小百合氏のお二人で、1994年以来全国で朗読会を開かれ、2013年の「南吉生誕100年」でも「朗読のあるシンポジウム 南吉童話の「声」」にも出演されていますが、聞き手をぐいぐい引付ける朗読の力には定評があります。

今回朗読された南吉作品の目玉は、主催者側の目で見ると大きく言って2つあります。その1つは南吉が安城の下宿時代に書いた、良寛物語「手毬と鉢の子」で、これには当主側の大見まゆみさんも大変喜ばれました。そしてもう一つは、安城高女の南吉の教え子である加藤千津子さんのリクエストで実現した「鳥右エ門諸国をめぐる」でした。

加藤さんがこの作品をリクエストした理由は、この作品の副主人公・平次が、主(あるじ)・鳥右エ門に向けるある種冷めた感情を、松丸さんの朗読によってもっと深く理解してみたい、松丸さんならどんなふうにこの作品の世界を表現されるのだろう、と思ったからでした。

朗読は、松丸さんが①「良寛物語」、西川さんが②「子どものすきな神様」、③「(宮沢賢治)ざしき童子のはなし」以下、松丸さんが④「(宮沢賢治)鹿(しし)踊りのはじまり」、西川さんが⑤「赤いろうそく」を朗読されました。

賢治作品との対比は、作品の類似共通性(子どもの数、手拭いやろうそくを不思議がる動物たち)を味わうため、また南吉の賢治作品に対する尊敬を感じられるようにとの配慮でした。

そして松丸さんが⑥「鳥右エ門諸国をめぐる」、西川さんが⑦「でんでんむしの悲しみ」を朗読され、会は終了となりました。

お二人は「たましいで読むこと」に気持ちを集中して朗読されました。松丸さんは「たましいで読む作品の要所では<私というものは>要らない」と話されました。そういう作品は作者がたましいで書いているから<私が前面に出て読むものではない>とのことでした。その文章も(おそらく)たましいが作者を通じて書かせているから、作品の要所に出てくる「ここはたましいで読みなさい」という呼びかけを感じ取って朗読する、ということを例を示しながら話されました。

そして朗読していて、そのたましいで読むことを一番感じさせてくれる作家が、新美南吉だと言われました。

(おわり)

どこでも朗読館

松丸春生・西川小百合による朗読グループ「どこでも朗読館」のオフィシャルホームページです。

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